「みやぎ農業見聞のつどい・秋」を開催しました
去る10月26日(土)に当公社が主催し、宮城県、県農業会議、JA宮城中央会の共催により「みやぎ農業見聞のつどい・秋」を開催しました。
見学の様子の一部をご紹介しますので、是非、就農ビジョンの具体化とともに就農計画の参考として下さい。
◎視察先1 あーりあわらと農園 ブシャン・アケボノ 氏
今までは、宅配やマルシェそして、家族が経営するレストランなど、直接販売にこだわってきたが、現在は、全国に調理用トマト、カリフラワーなどを契約販売で出荷している。また、ヒヨコ豆のレトルトカレーや豆のおつまみなどの商品開発を行い、自身のHP、マルシェ、泉区のスーパーなどで販売している。
農業を身近に感じてもらえるように、ポット植えのトマトをレストランに持ち込んでトマトの収穫体験を行ったり、ハウス内で交流販売を行うほか、月2回の料理教室も開催している。
また、若い人や新たに始める人でも、就農できることを知ってもらい、たくさんの方に「農業」を引き継いでもらいたいと思っている。農業者が増えるように、講演依頼は、積極的に受けるようにしている。
今年10月は、開発した商品で台湾の宮城県フェアに参加し、試食販売を行ったが、楽しくて自信に繋がった。レトルトカレーの売価は、日本の倍くらいであった。薄味の減塩商品やオーガニック商品が受けるようなので、今後、台湾向けに改良して販売したい。
今後の夢は、新規の人が農業を始めやすいように法人化することと、現在、加工を委託している分も自分で加工できるようにしたい。そして、昨年14年ぶりに帰ったインドにオーガニックファンを作りたいと考えている。
◎視察先2 涌谷町 (有)氏家農場 代表取締役 氏家 靖裕 氏
栽培面積は、全て合わせると20ha。うちハウスは6ha、棟数150棟以上。
露地では、白ねぎと青ねぎを栽培。転作田のため、水はけが悪く、風などの影響を受けやすい。天候リスクが大きいため、露地は、規模縮小で考えている。
ハウスの小ねぎは、出荷調整の手間を省くため、加工向けを増やしている。ほかに、水菜と青ねぎを栽培している。みず菜は、契約が増えたため、ハウスを増設した。
安定した収入を得るためにねぎを主力とし、みず菜は、リスク分散として取り入れている。大切にしていることの一つは「安定供給」すること。寒い地域では、年間を通して作物を安定して提供できる農家が少ないため、そこには責任をもって取り組むようにしている。
出荷割合は、業務・加工品、卸業者、袋詰め(スーパー)の順である。スーパー売りは、手間とロスが非常に大きいため、将来的には手間の少ない業務用中心の生産にシフトしたい。
一昨年からベトナムの実習生を受け入れ、現在は6名に働いてもらっている。仕事ぶりは、一生懸命で、職場内のつなぎ役にもなっている。
雇用したい人材は、素直で農業が好きで向上心があれば、経験は必要ない。一緒に改善を手伝ってもらいたい。現場各部門の業務長を補佐する人材に育てたい。将来的に独立希望の人の受け入れも可能で、分社化など、独立後の関係も視野にいれて考えていきたい。
◎視察先3 登米市米山町 さきたまファーム 常永 秀晃 氏
就農のフェアに行くと就農の良いことを言われるが、宮城の就農相談会では厳しく言われ、現実を見るようになった。
農地は、農業委員さんを通じて今の農地を紹介された。斡旋は多くあったが、近所の人に話を聞くなど、情報収集することが大事である。
求めた農地は段差があり、雑木林が繁茂する荒れた土地であったが、耕作放棄地の補助事業を活用し、整備した。
ハウスは、インターネットで中古資材を見つけ、直接交渉して安価で買い受け、関東から移築した。
補助事業の活用を検討している場合は、予算等の関係でいつでも利用できるわけではないので、就農までのスケジュールを計算し、前もって関係機関に相談しておくことが必要である。
作目をミニトマトとミディトマトに定め、2013年に独立就農した。栽培は、ロックウールを培養土に使った養液栽培の一種で、節水し糖度を上げている。市場であまり見ない品種を選んでいる。
就農当初は、研修先の師匠の教えから市場出荷を行った。均一な物を作らなければならないので、大変勉強になった。基本がわかっていないと良いものはできない。
その後、直売所に売り込んだが、扱ってもらえなかった。しかし、他の生産者と栽培スケジュールを変えて出荷することで、商品を直売所に置いてもらえるようになり、販売を市場出荷から直売に切り替え、直売所では、店先に立って試食販売を行い、顧客を増やしていった。
など、農業の現場見学と先輩農業者のお話に就農のヒントがたくさんあったようです。
今回の「つどい」が、就農への一助となることを願っています。
片付けや調査対応でお忙しい中、見学を受け入れていただきました。
あらためて農業者の優しさとたくましさを感じた「つどい」でした。
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